経営センスを鍛えるビジネスゲーム、ビズストーム

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【10周年アワードインタビュー⑤】会社への参画度を高めエンゲージメントを強化するビズストームの効果

部門横断型プロジェクトで活躍する若手メンバーのビズストーム研修

株式会社ケイキャリアパートナーズ

HRD本部 能力開発部 網まどかさま(ビズストーム認定インストラクター)

聞き手:箕作千佐子(ビズストーム開発者)

ビズストームでは、10周年記念企画のひとつとして「ビズストームの効果」をテーマとしたアワードを開催いたします。この記事はノミネートされた事例についてインタビューでご紹介するもので、後日投票により受賞者が決定します。

→10周年記念アワード記事一覧

―― ケイキャリアパートナーズさまでは、ある取り組みによって、従業員さんのエンゲージメント(会社への愛着心)が高まっているそうですね?

はい。数年前からエンゲージメントスコアを計測しており、ある年度で10%アップすることができました。これはめったにない劇的な変化だそうで、その要因を分析中なのですが、3年前から取り組み始めたケイキャリアパートナーズビジョンプロジェクト(KVP)は、そのひとつではないかと考えています。

これは社長直轄のプロジェクトでして、会社のビジョンを実現するために、各部門から選ばれた中堅・若手のメンバーが参加し、ビジョンの具体化や実現のためのプランニング、個人の成長、部門間の交流を目的として活動しています。今年度は各部門から最低1名ずつ選ばれて5名のメンバーが参加しています。3年間KVPを支援してきた体験から、エンゲージメントはその会社の方針や運営に少しでも関われたという実感を持つことによって高まるのでは?という仮説をもつにいたりました。

 

―― 具体的にはどのような活動を行っているのですか?

まずは、経営全体について学んだあと、自社について競争優位性や要因、課題を分析します。その結果に基づいて取り組むべき課題を決めます。今年度は、その設定した課題をもとに、各部署のメンバーにインタビューを行う計画にしています。例えば、「こういう課題があるんじゃないか」とか「こういうことをやったらビジョンの実現が早まるんじゃないか」という意見を集めます。課題に賛同する意見や、具体的な解決策の例を引き出せると良いと考えています。

また、異なる視点からの意見や、部門間連携の強化についても話し合います。各部署の現場を調査し、具体的なアクションを見つけ出すためのワークショップも実施します。

 

―― なるほど、実践的ですね。

例えば、何かそのビジョンに関わることで、自分として理想的な会社を思い描くとか、こうなったらいいなっていうことに対して、全力投球できたとか。そういうことがたくさん出てくれば出てくるほど、会社への関心が増し、関りを大事にしようとする気持ちも芽生え、エンゲージメントも高まっているのでは?と感じる場面が毎年沢山あります。

 

―― 素晴らしい取り組みですね。そのプロジェクトに、ビズストームを取り入れて下さっているということですが、実際にはどのような活用の仕方をしていただいていますか?

このプロジェクトは、半年余りの期間で実施しますが、その冒頭の2回目か3回目にビズストームを実施し経営の全体像を体感してもらっています。その体感は、視野の拡大、視点の充実を後押ししていると感じます。それまで考えたことのなかった課題の掘り起こしや対策の検討が進むようです。

さらに自社分析ではビズストームで使われている「価格競争力・商品力・販売力・供給力」をフレームワークとして使用しています。

 

―― そこはビズストームの王道の使い方ですね。

はい。ゲームでの体験によって経営の全体感を持って考えることができるようになると、自分の日常の仕事について考える際も、思考に磨きをかけられる効果があると思います。

たとえば「自分の仕事はこうあるべきで、それによって経営のこの指標にこう影響を与えることができる」とか、「自分がこうしていきたいっていう話をするときに、そのステークホルダーのいろんな視点を絡めながら、自分の意見をまとめることができる」といったようなベースができている様子です。ビズストームでそれが学べた人は、そののちの業務の中で会社への参画度合いが上がっていく、上司から参画機会を提供して貰いやすくなっていくという実感があります。

 

―― 効果を感じられた具体的なエピソードはありますか?

毎年、前年度のプロジェクトメンバーと今年度のメンバーが交流する日を設けています。新規メンバーがビズストームを受けて自社分析をした後に去年の先輩たちからのフィードバックを受ける流れです。その中で自分の業務でも学んだことを活かしている発言が見受けられます。例えば、お客さんとのコミュニケーションの強化に役立って、販売力のアップになったという人もいましたし、ビズストームで学んだ考え方を自分の仕事の課題整理に活用している元メンバーもいます。もちろん、いままですっかり忘れていた、フィードバックを求められて思い出した、という人もいますが(笑)

 

―― すごい成長ですね。新規メンバーにはそれが刺激になり、プロジェクトを卒業した後も成長が続いているのですね。

プロジェクトの間、もしくは終わってからの自分の業務の中で自信をつけていることがよくわかります。後輩に対して的確な指摘やするどい質問を投げる姿は、とても頼もしくみえます。

プロジェクトでは先輩でも実際の年次では後輩というケースもありますが、そうした指摘が大事だとわかっているからこその発言だと思うんですよね。そうやって、ちゃんと学んだ視点を自分のものにしている人は、確信を持ってアウトプットもできるし、周囲から受け入れられる率も上がっていきます。そういう経験が積み重なると、会社に対しても意見を言いやすくなっていくでしょうし、会社経営に参画している自覚も深まり、結果としてエンゲージメントも上がっていく方向になるのでは、と思っています。

 

―― 素晴らしいですね。それにビズストームを使っていただいているということがとても光栄です。会社への参画度やエンゲージメントを高めるために使うというのは、ビズストームの新たな用途ともいえると思います。

そうなんです。共通の視点で上位のレイヤーとも話しやすくなる効果があるようです。若手もビズストームを通じて考え方の指標を持っておけば、幹部とも同じ土俵で話ができるようになると期待できるんですよね。

他社でのビズストーム研修での事例ですが、ビズストームを受けた後、上司から「視野が広がった」とフィードバックを受けた受講者さんがいらっしゃいました。ビズストームを通じて会社全体の視点を持つようになり、より戦略的な提案ができるように変化されたそうです。ご本人もそのことがとてもうれしかったようで、報告しにきてくれました。

 

―― きちんと聞いてもらえる意見や提案を発信できるようになることは、大きなやりがいになるので、エンゲージメントが高まるのはもっともなことですね。

 

――最後に、今後の目標や展望がありましたら教えてください。

今年のKVPのテーマはシンギュラリティを迎えるにあたり、どうすればビジョン実現をめざせるか?というものです。これからはデータを使い倒す企業が競争力を高めることができるとされています。ビジョンの実現に向けて、では、わたしたちはどんな風にどんなデータを活用することができるといいのかを考えたいと思っています。例えば、データ分析を通じて顧客のニーズをより正確に把握し、新しいサービスの開発に役立てられればすてきだなと思っています。

ビズストームは講義部分で、シンギュラリティなど新たな要素を取り入れられるのも魅力です。変化に対応しながら、広い視野を養う機会を多く提供するにあたって、これからもビズストームを大いに活用していきたいと思います。

―― ありがとうございました。非常に興味深いお話を伺うことができました。

<執筆 石川梨絵子(ビズストーム認定インストラクター/中小企業診断士)>

 

 

 

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