淑徳大学 経営学部 経営学科 准教授 麻場勇佑先生
株式会社プロデューサー・ハウス 代表取締役 堀切研一(研修提供)
聞き手…箕作千佐子(ビズストーム開発者)
前編では、新入生オリエンテーションでビズストームを導入したきっかけや研修の様子等についてお聞きしました。
淑徳大学特有の導入方法として、先輩学生が認定インストラクター資格を取得して運営をするという点があります。後編ではその意図や効果についてお聞きしていきます。

――先輩の学生さんたちが、ビズストームのインストラクター資格を取って、サブ講師として運営に入っていただいたんですよね。その経緯を教えていただけますか?
(麻場)初めて実施した昨年度は、プロデューサー・ハウスさんにメイン講師とサブ講師の派遣をお願いし、その際、事前にビズストームを体験していた13名の学生が、運営補助として参加しました。
その時の経験から、グループ支援を担うサブ講師は学生が務めることで、理解促進や学習意欲の面で一層の効果が見込めると考えました。
淑徳大学経営学部にはSLDP(Shukutoku Leadership Development Program)という教育プログラムがあり、その授業ではLA(Learning Assistant)と呼ばれる先輩学生が下級生の学びを支援する教育実践を行っています。このオリエンテーションも、2・3年生 LAが中心となって運営しています。
そこで今年度は、14名の先輩学生が事前にビズストーム認定インストラクター資格を取得し、6教室体制で各教室2~3名の学生サブ講師を配置しました。ルール説明等を行うメイン講師の派遣は引き続きプロデューサー・ハウスさんにお願いし、学生サブ講師は新入生への助言・進行補助を担当しました。
――LAの学生さんにサブ講師として運営に入っていただいたねらいについて教えていただけますか?
(麻場)ねらいは大きく2つあります。ひとつは、新入生にとって「年の近い先輩から学ぶことで理解が深まり、学習意欲も高まる」点です。もうひとつは、「教える立場の先輩自身が大きく成長できる」点です。ビズストームのインストラクター資格取得までの過程および当日に向けた準備活動を通じて、LAたちの経営学的知見が深まり、これが当日の学修成果の向上に寄与したと考えています。また、運営においても、積極的に意見を出し合い、緊張をほぐすためにレクリエーションを入れたり、休憩タイミングを工夫したりと、成長が見られました。
LAは本学の中でも選抜された上位層の学生です。このような経験を通じたLAの成長が、大学全体の学修水準の底上げにつながると考えています。
――今年度の学生の皆さんの反応や、研修効果についてはいかがでしたか?
(麻場)淑徳大学経営学部にはSLDPを目的に入学してくる学生も多く、LAの先輩は新入生にとって憧れの存在です。そうした先輩たちに直接アドバイスやサポートをしてもらったことで、新入生の学習効果は非常に高まりました。
経営学科の新入生オリエンテーションでは毎年いくつかのプログラムを実施していますが、ビズストームが2年連続で最も高評価を得ています。「楽しく学べる」「もう一度やりたい」といった声が多く寄せられました。
また、他の教員からも学生サブ講師の起用を評価する声が多く、講義内でビジネスゲームを導入する授業も増えています。
1年生のプレゼン発表でも、考察の深さが明らかに向上しており、学習効果を強く実感しています。
(堀切)私も、実際の研修の様子を拝見して、学生の方たちがサブ講師として参加したこともあり、全体の雰囲気がとてもよかったと感じました。
学生の皆さんが自分たちで運営しているという意識がすごく高く、それが運営の質にもつながっていたと思います。
研修中も、受講者の様子をしっかり観察し、来年に向けての改善案をその場で出して共有していたのがとても印象的でした。
――今後の展望があれば教えていただけますか?
(麻場)一度きりの研修で、やりっぱなしにしてしまうのはもったいないと感じています。単発の研修で完結させるのではなく、学修の節目で再度ビズストームに取り組む機会を設け、経験と理論の橋渡しを図りたいと考えています。
また、今年は2・3年生LAがサブ講師を務めましたが、来年度は4年生(現3年生)がメイン講師として登壇できるようにしたいと考えています。まだ確定ではありませんが、既に学生たちには構想を伝えていて、彼ら自身もチャンスだと前向きに捉えているようです。学生が在学中に講師を務める経験は貴重で、就職活動でも大きな強みになると思います。
さらに、こちらも構想段階ではありますが、LAの学生たちが他大学に出向いてビズストーム研修を実施することも視野に入れています。大学の評判にもつながりますし、他大学の学生と接することで新たな刺激を受け、自分の立ち位置や価値を認識するきっかけにもなると期待しています。
――学生さんが講師として登壇されるというのは、とても珍しいケースですね。様々な構想もお聞かせいただき、今後の展開が楽しみです。
(堀切)講師として学生を起用したいという話を麻場先生からご相談いただいたとき、とても面白いなと思って、協力させていただきたいとお話ししました。こうして段階的に、組織のありたい姿に向けてビズストームを活用いただくのは、一つの新しいモデルになると考えています。
(麻場)僕にとってもわくわくするチャレンジですし、教員がそうした姿を見せることで、学生たちも楽しんで乗ってくれていると思います。
毎年続けて実施していくことで、学生たちのパワーアップした姿をお見せできると思います。来年も是非お願いしたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。

<執筆 岡本友海(中小企業診断士/ビズストーム認定インストラクター)>






