経営センスを鍛えるビジネスゲーム、ビズストーム

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【10周年アワードインタビュー①】農業を学ぶ学生を夢中にさせ経営感覚を定着させるビズストームの効果

農業経営者を目指す学生たちの成長を支えるビズストーム研修

合同会社ひまわりマネジメントサポート

代表社員 長尾辰彦 さま

(ビズストーム認定インストラクター)

聞き手:箕作千佐子(ビズストーム開発者)

ビズストームでは、10周年記念企画のひとつとして「ビズストームの効果」をテーマとしたアワードを開催いたします。この記事はノミネートされた事例についてインタビューでご紹介するもので、後日投票により受賞者が決定します。

→10周年記念アワード記事一覧

――長尾さんは、徳島県立農林水産総合支援センター農業大学校様での授業をお持ちとお伺いしています。どのような授業をご担当されているのですか?

 

はい。1年生を対象とする「六次産業化概論」と2年生を対象とする「経営戦略論」を担当しています。 「六次産業化概論」は、農業生産者が自らの農作物を加工・販売することで付加価値を高めて、農業経営の多角化を図ることを目指した授業です。事例研究などを通じて、実践的な学びを行っています。「経営戦略論」は、農業経営における戦略的思考を養うための授業です。どちらの授業も、学生が将来の農業経営者として必要な知識とスキルを身につけるために設計されているのが特徴です。

 

――確かに農業にも経営的な視点が必要だと言われて久しいですね。その授業でビズストームを組み込んでくださっているそうですが、どのようにご活用いただいているのでしょうか。

 

ビズストームを導入しているのは、「経営戦略論」です。実は、農業大学校での講師のお話を頂いた当初から、ビズストームを取り入れた授業にしたいと考えて提案したもので、ビズストームをやるというのが前提でシラバスを組んで開始したものなんです。
年によって変わりますが、1シーズンで2回ビズストームを実施することもあるんですよ。

 

――ビズストームを2回実施いただくプログラムはとても効果が高いと言われていて、私もおすすめしているので嬉しいです。学生さんの様子はいかがですか?農業大学校ということもあり、経営ということについて、学びにくさを感じる様子はないでしょうか。

 

そうですね。確かに、学生たちは農業技術を学ぶことには非常に熱心です。しかし、経営に関しては、最初から強い関心を持っているわけではないように感じます。
対象の2年生は、1年次に全員「六次産業化概論」を受講していますが、やはり、はじめは理解しにくい、どこから手を付けたらいいのか分からないといった様子が見受けられることもあります。
ですから、初めは時間をかけてゆっくりと講義をするところからです。ゲームの準備にもなるように「市場」とか「ターゲティング」とか、経営に関する言葉の理解を進めるようにしています。ですが、ゲーム前の講義では、積極的な学生はあまり多くはなくて、こちらも興味を持ってもらえるように工夫したりしていますが、学生の方もなるべく講師と目を合わさない努力をしていることもありますね(笑)

 

――それが、ゲームになると徐々に変わってくるんですね?

 

そうなんです。初めは、真剣にやってくれるかどうか不安な人たちも、次第に夢中になっていくんですよね。3期くらいやると、多くの学生の関心が高まっていて、販売フェーズも自分たちでどんどんと進めていってくれるようになります。
座学なら、下を向いて寝ているような学生の姿を見ることもありますが、ゲームなのでもちろんそんな人はいないし、むしろ全員が立ち上がったりして、前のめりで卓を囲んでいる雰囲気です。

 

――大盛り上がりの様子が伝わってきます。ゲームを通して、学生さんの成長を感じられる場面もあるそうですね。

 

特に、市場調査ですね。これは毎回、本当に大人気です。グループの半数以上が市場調査を実施することもあります。そして、市場調査を通じて、他の空いている市場に気づく人が少なからずいて、次の一手を見ていると感心させられることがあります。
他には、販売価格を上げるために競争力を下げる工夫をする学生も比較的多い印象です。市場の仕組みを理解していることや、市場調査の結果を活かしていることがここからも良く伝わってきて、しっかり考えて成長しているなと感じています。

 

――大学の先生方からはどのような評価をいただいているでしょうか?

 

大変好評です。「この手ごたえはすごくいいよ!」というのを言葉でも態度でも示してくださる先生が多くいるんです。「生徒たちが一般教科でこんなに真剣に盛り上がるのは初めて見た」とおっしゃってくださった先生もいましたし、「市場調査などのキーワードは、教えていても右の耳から左の耳へ通り抜けるイメージだったが、生徒が自ら発しているのがとても新鮮だった。」とお声がけくださった方もいました。
ビズストームの導入に積極的にかかわっていただいた先生には、当初、1年生で「経営戦略論」2年生で「六次産業化概論」と現在と逆の組み立てだったところ、ある程度経営学を学んでからゲームに進む方が良いだろうと、積極的に全体の講義計画を見直して順序を入れ替えてくださったほどです。

 

――大学側も熱心に考えてくださるのはありがたいですね。「六次産業化概論」を含め、ビズストームをプレイする前の講義にはなにか影響はありますか?

 

講師としても、次にビズストームが控えているとテーマを絞って講義しやすくなるので、とても助かっています。ビズストームのゲームに出てくる「商品力」「販売力」といった言葉を活かしたフレームワークは使いやすいので、これに沿って講義するようにしています。

 

――ビズストームを実施いただいている「経営戦略論」もテストがあるんですよね?

 

はい。本学では全員の学生が「米を有機農法で作る方法」とか、「ニンジンの消費量を増やすための方法」といった、自分のプロジェクトを持っているので、これとビズストームでの学びと関わらせて「そのプロジェクトに「商品力」「販売力」活かすならどうしますか?」という記述式の問題を出したりしています。それに対して、大人顔負けの素晴らしいレポートを書く学生もいましたよ。
他の講義では、なかなかキーワードを押さえた記述は多くないのですが、本講義では、「市場調査」をはじめとする言葉が出てくることがとても多いのが特徴だと思います。ビズストームを含めた講義内容をきちんと理解して書いていると感じることが多くて、学びの効果があったといえるのではないかと考えています。答案の記述の分量も多いと思います。

 

――前向きな学生さんの様子をたくさんお聞かせいただきありがとうございました。ビズストームを一つのきっかけとして、立派な農業経営者に育っていただけると良いなと思います。

<執筆 石川梨絵子(ビズストーム認定インストラクター/中小企業診断士)>

 

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