新入生オリエンテーションでの大規模ビズストーム研修
京都橘大学 経営学部 経営学科 准教授 仙波 亮一 先生
学生支援課長補佐 三島 彩 さま
聞き手:東松英司(メイン講師)/箕作千佐子(ビズストーム開発者)
ビズストームでは、10周年記念企画のひとつとして「ビズストームの効果」をテーマとしたアワードを開催いたします。この記事はノミネートされた事例についてインタビューでご紹介するもので、後日投票により受賞者が決定します。
――京都橘大学様では、本年度で4年連続、経営学部の新入生を対象としたビズストーム研修を300人近い規模で実施いただいています。継続して研修を実施することに対して先生方の間で議論はありましたか?
(仙波先生)はい。もともと1年や2年では研修の効果を測りかねるとの考えがありましたし、初年度の実施アンケートの結果が非常に良かったため、当面は続けていこうということで反対意見は全くありませんでした。
ただ、ビズストームがどういったものか経験していない教員がいたこともあり、学生にどう受け止められているのか、どんな効果があるのか分からないという声があったのも確かです。
――そのようなご意見に対して、どのように対応されたのでしょうか。
(仙波先生)そういった先生方にはベーシックセミナーを受講してみるように勧め、体験してもらうようにしました。結果、導入して良かったという意見が多くなりました。
また、毎年プログラムや運営方法を細部にわたって改良していただいているので、完成度があがっているという点も評価されています。
――ありがとうございます。経営学科の新しい先生方も増えているとのことですので、今後もご都合がついたらぜひご参加ください。
さて、本題の「ビズストームの効果」に関してお伺いしたいと思います。仙波先生の授業で3年生の学生がビズストーム研修のことを話題にされたとお聞きしました。詳しく教えていただけますか?
(仙波先生)以前担当していた「キャリア開発演習Ⅳ」の授業の中で、3年生の学生がモチベーショングラフを作成しました。経営学科の学生は他の学部の学生に比べ、入学当初のモチベーションが非常に高く、ビズストームがその一因であることが分かりました。
――それはどういったことでしょうか?
(仙波先生)うちの大学には、第一志望ではなく、第二志望、第三志望で入った学生も一定数います。
したがって、モチベーショングラフを書かせると、入学当初のモチベーションは低いのではないかと想像しておりました。それが、経営学科の学生については、入学当初のモチベーションを非常に高いところに位置づけていたんです。私が不思議に思って学生に「こんなにモチベーション高かったんだね」と話しかけると、そこで返ってきた言葉が「ビズストームがあったので面白かった」とか、「入学する時にそんなにモチベーションが高くはなかったんだけど、ビズストームで友達が増えて、そこからモチベーションが上がった」といった声でした。私としてはビズストームをやってよかったとうれしく思いました。
――とても嬉しいエピソードですね。ビズストームでは通常は1人が1社を経営するのですが、親交を深めるため3~5人のチーム制で経営するスタイルにしたのが効果的でしたね。他には、どのような声があったでしょうか?
(仙波先生)ビズストームをやってみて、「こういう感じで学ぶんだ」「こういう勉強をするんだ」というイメージが持てたことは、大学の正課授業への良い導入になったという意見が多かったです。経営学部は、目的意識を持って入ってくる学生ももちろんいますが、将来の目標がまだ定まっていない学生が選びがちな学部でもあります。経営学部で何を学ぶのかよく分かっていない学生には「経営とは何か?」というところから教えなければいけません。学生にとっては、ビズストームをやることによって、経営学部での学びをイメージできたのではないでしょうか。
また、とても興味深かったのは、ビズストームをやると、その人の性格が結構現れます。なかには、「やっている途中でグループメンバー一人一人の性格が何となく読めてきて、それを知ることによって、経営には心理学や社会学などいろんな要素が必要なんだということが分かったんです」という女子学生がいました。
――素晴らしい着眼点ですね。
(仙波先生)そうですね。私自身も心理学的なアプローチや社会学的なアプローチを用いて経営学の研究に取り組んでいるものですから、非常に嬉しい意見でした。
――三島さんには学生支援課のお立場で研修に関わっていただいていますが、何かお気づきのことはありましたか?
(三島さま)はい。大学では毎年入学時にアンケート調査を行っていますが、「オリエンテーション期間中にあった行事の中で最も役に立ったものはどれですか」という問いに対して、今年の新入生の約半数が「ビズストーム」と答えていました。このオリエンテーション行事には履修登録などの説明も含まれるので、どうしても実務的なオリエンテーションに票が偏る傾向があるのですが、そこで約半数の学生がビズストームを挙げたというのは、これはかなり高い数値です。
――履修登録のガイダンスよりも役に立ったと言ってくださる学生さんがいるのは、嬉しいものがありますね。
(三島さま)やはり、インパクトが大きく印象に残っているということでしょうね。
3年生になってもビズストームのことを覚えているっていうのは、すごく嬉しいことですよね。オリエンテーションでやったことを2年後に問われたとしても「これやったかもな」ぐらいの感覚で、なかなか覚えていないものですが、経営学科の学生は、「ゲーム」とかでもなく、「ビズストーム」という言葉を覚えていて、言ったら分かるんですよ。
――すごく嬉しいことですね。
ビズストームについて、他の学科の学生さんから何か反応があったことはありますか?
(仙波先生)ビズストームの話が出ると、他の学科の学生から「何それ?面白そう!私も受けたかった」とか、「なんでうちの学科にはそういうのがないんですか?」という声が聞こえてきます。経営学科の学生はちょっと得している感じですね(笑)
―― ビズストームだからというだけでなく、先生方や事務局の皆さんが熱心に取り組んでおられるのを拝見して、京都橘大学の学生さんたちは本当にラッキーだなといつも感じています。これからもぜひご一緒させていただけたら幸いです。
(仙波先生)今後も学生たちに良い影響を与えていただけたら幸いです。
<執筆 石川梨絵子(ビズストーム認定インストラクター/中小企業診断士)>